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  • 2018/05/16
  • 遠藤正賢

産学共同で駆動系の基礎研究を行う「自動車用動力伝達技術研究組合」(TRAMI)が発足!

国内自動車メーカー9社およびトランスミッションメーカー2社が参画

TRAMI組合員各社代表。前列右端が前田敏明理事長
 国内自動車メーカー9社およびトランスミッションメーカー2社を組合員とし、産学共同で駆動系の基礎研究を行う団体「自動車用動力伝達技術研究組合」(Transmission Research Association for Mobility Innovation。略称TRAMI(トラミ))が4月2日に設立。その記者会見および発足式が5月15日、ベルサール汐留(東京都港区)で開催された。
動力源によって異なる駆動システム搭載領域

 TRAMIの前田敏明理事長は、「地球規模の環境問題、エネルギーリスクを考慮すると、CO2排出量を大幅に削減する必要があり、それに伴い自動車用パワートレーンが電動化し多様化ていくことは明らかだが、いずれにおいても動力伝達系はキーコンポーネンツであり続ける。そのため、この領域の技術研究を継続・進化させていくことが非常に重要だと考えている」との見解を述べたうえで、TRAMI発足の主旨について説明。

ドイツおよび中国における駆動系共同研究の取り組み
日本における駆動系研究の現状とTRAMIが実現したい姿

「海外に目を向けると、ドイツでは約半世紀前に技術研究組合が発足しており、中国では国家の豊富な資金力をベースに欧州エンジニアリング会社から技術の供給を受け、急成長を遂げている。だが日本は個別の大学・企業による共同研究に終始し、それらの連携がないため、研究の深掘りやつながり、広がりの障害になっている。また、内燃機関と比較し、日本の大学には駆動系の研究室がほとんどない」ことを問題点として挙げ、「TRAMIの活動により効果的な基礎・応用研究を加速させ、それらを連携させ、技術力を向上・底上げしたい」と意気込みを述べた。

TRAMIの果たす役割と産学官連携のイメージ

 また、具体的な活動内容として、「組合員11社から研究テーマを募り選定し、各大学に委託または共同研究。成果はデータベースに蓄積し、組合員企業11社が平等に活用できるようにする」ことに加え、「この研究には、将来的にエンジニアリング機能を担うことを想定し、計測器メーカーにも入ってもらう」方針を掲げている。

TRAMIの組織図と各委員会・研究会のリーダー企業
TRAMIにおける協同研究のスキーム

 その後白井智也運営委員長は、各委員会および研究会に対しリーダー企業を分担して配置するTRAMIの組織構成と、同会における研究のスキームを説明した。

走行性能と燃費に関する研究テーマと10年シナリオ
静粛性とベンチマークに関する研究テーマと10年シナリオ

 さらに、走行性能、燃費、静粛性、ベンチマークについて、今後の研究テーマに関する10年シナリオを設定。金属摩擦のコントロール技術については「機械摩擦・熱研究会」、気液混相のコントロール技術については「流体摩擦・熱研究会」、気泡の影響を含んだ作動油特性のコントロール技術については「流体制御研究会」、トップランナーの調査とデータ蓄積については「合同調査研究会」「計測技術研究会」が担当することを明らかにした。

TRAMIの産学共同研究ネットワーク
TRAMIによる人づくりの貢献施策

 そして今後、産学共同研究のネットワークを拡大。と同時に、産学TRAMIの前身にあたる自動車技術会・動力伝達システム共同研究推進委員会が実施した、複数の企業・大学によるトライアル研究が、大学研究室の活性化や学生のモチベーション向上につながったことから、「これをベースに人づくりの好循環モデルを作っていきたい」としている。

 プレゼンテーション後の質疑応答では、前田理事長が「30年前はMTとATしかなかったが、現在は駆動システムの種類が増えており、個社で全部を研究するのは非常に辛い。個社ではそれぞれの得意分野で製品開発に専念してもらい、TRAMIは基礎を共同で研究する」と述べており、これが現在の駆動系開発を取り巻く困難な状況とTRAMI発足の主目的、またTRAMIが担う協調領域、個社間で争う競争領域を最も端的に示しているものと思われる。

 海外メーカーの駆動システムが国内メーカーでも採用例が増えている中、日本の駆動システムが性能・採用実績の両面において国内外で今後巻き返していくのに、TRAMIの活動がどのように貢献していくのか、注目したい。

 TRAMIの組合員企業は下記の通り(五十音順)。

アイシン・エイ・ダブリュ
いすゞ自動車
ジヤトコ
スズキ
SUBARU
ダイハツ工業
トヨタ自動車
日産自動車
本田技術研究所
マツダ
三菱自動車工業

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