• 2018/02/24
  • 遠藤正賢

スズキ・クロスビー試乗|デザイン、走り、居住性良し。でも価格がスイフトスポーツより高い!

単なる「ハスラーの小型車版」に留まらない高い実力。だが価格、シート、安全装備はいかに?

スズキ・クロスビー

「ハスラーの小型車版を」という、そのハスラーが2013年末の発表当初から上がっていた市場からの声に応える形で、ちょうど4年後の2017年末にデビューした、AセグメントのクロスオーバーSUV「クロスビー(XBEE)」。実際に見て、触れ、乗ってみると、単なる「ハスラーの小型車版」に留まらない、高い実力を備えていた。

東京モーターショー2017に参考出品されたスズキ・クロスビー
東京モーターショー2017に参考出品されたスズキ・クロスビー

 このクロスビーは、昨年の東京モーターショー2017に参考出品されているが、9月の事前発表時に配布された内外装の写真を見た時点の印象は、まさに「ハスラーワイド」。かつてのワゴンRやジムニーなどに見られるように、軽自動車のハスラーを小型車サイズに拡大しただけのクルマのように感じられた。

東京モーターショー2017のスズキブースに展示されていたハスラー
東京モーターショー2017のスズキブースに展示されていたハスラー

 だが実車を見ると、その印象は180度変わる。特にエクステリアは、ハスラーとは似て非なる、実にグラマラスなボディとなっていることが分かる。特に東京モーターショーでは、クロスビーのすぐそばにハスラーが展示されていたため、直接見比べるとその違いは一目瞭然だった。実際にクロスビーとハスラーで共用した部品はひとつもないという。

スズキ・クロスビーの運転席まわり
スズキ・ハスラーの運転席まわり

スズキ・イグニス
スズキ・イグニスの運転席まわり

車内の運転席まわりを見るとさらに両車の違いは明確で、デザインのテイストこそ似ているものの幅方向のゆとりが決定的に異なる。一方でメーターパネルとフルオートエアコンのスイッチ類がイグニスとほぼ共通のため、ハスラーよりもイグニスとの兄弟関係が見て取れた。

スズキ・クロスビーのボディ骨格。紫が1180MPa級、金が980MPa級、青が440~780MPa級鋼板

 そして、ボディやシャシー、ドライブトレインなど「走り」の部分は、より一層イグニスとの共通点が多い。イグニスやソリオと同じAセグメント車用の最新世代「ハーテクト」をベースとしながら、Bピラーやサイドシルに1,180MPa級の超高張力鋼板を使用するなど、ボディ全体の高張力鋼板使用比率を重量比ベースで47%に向上。FF車で960kg、4WD車で1000kgと、イグニスに対する重量増を80kgに抑えている。

 ボディサイズは全長×全幅×全高=3760×1670×1705mm。同じプラットフォームを使用するイグニスおよびソリオの中間に位置するサイズで、より共通点が多いイグニスに対し60mm長く、10mm広く、110mm高い。ホイールベース2435mm、最低地上高180mmという数値はイグニスと同一で、4WD車のシステムもイグニスと同じ、通常走行時は前輪のみ駆動し、滑りやすい路面では後輪にも駆動力を配分するビスカスカップリング式となっている。

クロスビー全車に搭載されるK10C型ターボエンジン+マイルドハイブリッド

 ただしパワートレインは、イグニスの1.2ℓ直4NA+CVT+マイルドハイブリッドではなく、K10C型1.0ℓ直3直噴ターボエンジンにマイルドハイブリッド、6速ATを組み合わせたものを全車に搭載。エンジンの最高出力は8ps高い99psで、さらに最大トルクは32Nm上回る150Nmを1700~4000rpmの低く広い回転域で生み出すというから、スペックを見ただけでも余裕のある走りが期待できるというものだ。

気になるクロスビーの走り、居住性、使い勝手は?

スズキ・クロスビー

 今回試乗したのは上級グレード「ハイブリッドMZ」の4WD車だが、実際に走り出すと、その期待を全く裏切らない加速感が、アクセルを踏み始めた瞬間から味わえる。イグニスに対する80kgの重量増を全く感じないどころか、CVTではなく6速ATとなりラバーバンドフィールから解放されたことも相まって、非常にレスポンス良く軽快に速度をコントロールできるのだ。

走行モード切替スイッチ。左からヒルディセントコントロール、グリップコントロール、スノーモード、スポーツモード

 なお、クロスビーの4WD車には、アクセル開度に対するトルクの発生量を高め、エンジン回転も高めを維持する「スポーツ」と、逆にアクセル開度に対するトルクの発生量を減らし、雪道やアイスバーンでタイヤの空転を抑える「スノー」、2つの走行モードが実装されているが、ドライの一般道および高速道路では前者が演出過剰で、後者はハッキリと鈍い。デフォルトの状態がまさにちょうど良く、メカニズムを理解しスポーツドライビングを好むドライバーが少ないと思われるこのクルマにはベストセッティングと思われた。

 このほか、今回は試す機会を得られなかったが、滑りやすい路面での発進を容易にする「グリップコントロール」、急な下り坂で自動的に車速を7km/hに維持する「ヒルディセントコントロール」を備え、オン・オフ問わず軽快かつ安全に走れるよう配慮しているのは、特筆すべき事項だろう。

スズキ・クロスビーFF車の前ストラット式、後トーションビーム式サスペンション

 イグニスでは軽快というより神経質な面が目立ったハンドリングは、大人5人がアウトドアに出掛けることを主眼とするこのクロスビーでは大幅に改善。直進安定性を重視したロングツーリング向けのセッティングとなり、高速道路を走ってもイグニスより110mm高い1705mmの全高を感じさせない。それでいながらコーナリングも、操舵レスポンスが鈍く強アンダーステア……というトレードオフの関係になっておらず、こちらも敏感すぎず鈍すぎない、乗用車として理想的な走り味に仕上げられている。

傾斜角が極めて少ないスズキ・クロスビーのAピラー

 そしてもうひとつ美点として挙げたいのは、ハスラーと同じく丸みを帯びたスクエアなフォルムがもたらす、視界の良さと広大な室内空間だ。

 空気抵抗低減のためAピラーを寝かせるモデルが多いなか、ハスラーそしてクロスビーは際立って直立に近い設計となっている。そのため交差点などで、斜め前方にいる歩行者や自転車を発見しやすい。しかも、ボンネットとドライバーの距離が前後上下方向とも近く、フロントフェンダーの両端が盛り上がっているため、車両感覚が非常につかみやすいのだ。

スズキ・クロスビーのリヤシート
スズキ・クロスビーのフロントシート

 これはその他のピラーを含む左右方向も変わらず、そのおかげで全長×全幅×全高=3760×1670×1705mmの小柄なボディながら2175mmもの室内長を稼ぎ、かつ前後席とも窮屈さを全く感じさせない居住性を備えている。

 なお、後席は165mmのスライド機構を備えているが、身長174cmの筆者が適切なドライビングポジションを取ったうえでこれを最前端にセットしても、拳1つ分のニークリアランスが得られたのには驚かされた。

防汚タイプのフロアを備えるハイブリッドMZのラゲッジルーム

 その分荷室容量は決して大きくなく、後席が最後端の場合は124ℓ、最前端では203ℓ、後席を倒した状態でも520ℓに留まる。だがその際のフロア形状はフラットで、さらにFF車で81ℓ、4WD車で37ℓのラゲッジアンダーボックスを備え、しかも「ハイブリッドMZ」には防汚タイプラゲッジフロアと撥水加工シートが標準装備されるため使い勝手は非常に良く、5人フル乗車で一泊以上のアウトドア……という場面でもない限り、不便を感じることはないはずだ。

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