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  • 2019/07/19
  • AnimeandManga編集部

〈スズキ・スイフトスポーツ:試乗記〉1.4ℓターボエンジンによって、これまでとは異なる愉しさを手に入れた

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試乗グレード●SWIFT Sport(6速MT/6速AT)
先代までの1.6ℓNAエンジンに代わり、歴代初めてターボエンジンを手に入れたスイフトスポーツ。大幅に力強さを増したパワーユニットに、先代比-70kgで1t切りを果たした軽量ボディを組み合わせたその走りは、かつて経験したことのない刺激に満ちたものだった。

REPORT●石井昌道(ISHI Masamichi)
PHOTO●平野 陽(HIRANO Akio)/神村 聖(KAMIMURA Satoshi)

※本稿は2017年9月発売の「新型スイフトスポーツのすべて」に掲載されたものを転載したものです。車両の仕様や道路の状況など、現在とは異なっている場合がありますのでご了承ください。

ターボ化されるとともに3ナンバーボディを得る

 1980〜1990年代は日本の自動車メーカーのほとんどがベーシックなハッチバックのスポーティモデル、いわゆるホットハッチをラインナップし、財布は軽いがクルマに熱い思いを抱いていた若者から大きな支持を得ていた。その熱が2000年代に入ると急激に冷めていったことは、若者のクルマ離れの象徴的な出来事だったように思う。

 そんな中、03年にデビューしたスイフトスポーツは日本のホットハッチファンの希望の星となった。当初は軽自動車の延長線上のモデルだったためパフォーマンスに限界はあったが、ハイチューンなエンジンが官能的で刺激は濃厚。他の日本メーカーのホットハッチが元気をなくしていたのを尻目に、ファンの心を鷲づかみにしたのだ。

 同モデルは欧州ではイグニスとして発売されていたが、04年に世界戦略車のコンパクトカーとしてスイフトが正式デビュー。05年にはそれを受けての「初代」スイフトスポーツが登場することになるが、ベースモデルが大幅にポテンシャルアップしたことに比例して一気にパフォーマンスを向上。走りへの要求度が高い欧州のマーケットで通用するよう開発されただけあって乗り味も欧州車的になり、VWのポロGTIなど実力派をライバルと見立てても遜色ない走りを披露した。

 11年登場の二代目は正常進化。ますます冷え込む日本のホットハッチ市場で孤軍奮闘していたが、その熱さの要因はスズキのスポーティカーではフラッグシップであるという背景があったからだろう。

 昨年デビューした三代目スイフトはハーテクトによって大幅な軽量化を果たしたプラットフォームを採用。走りの本質の部分でのしっかり感に磨きが掛かるとともに、乗り味に上質ささえ窺えるようになった。

 今度のスイフトスポーツも、そういったベースのポテンシャルアップに比例して優等生のクルマになりそうだと想像していたのだが、それはいい意味で外れた。

 新型スイフトスポーツはエンジンをターボ化してパフォーマンスを桁違いに上げてきたからだ。それも今のトレンドであるダウンサイジングターボという枠にはとどまらない。

 従来の1.6ℓNAは最高出力136㎰/6900rpm、最大トルク16.3㎏m/4400rpmだったのに対して、新型は1.4ℓ直噴ターボで140㎰/5500rpm、23.4㎏m/2500-3500rpm。燃費性能は6速MTで11%、6速AT(従来はCVT)で4%向上しているが、0-100㎞/h加速は6速MTで20%、6速ATで25%向上。確かに燃費改善も果たしているが、動力性能の伸びはそれ以上。

 時代の趨勢に合わせてダウンサイジングしたというよりもパフォーマンス志向と捉えてもおかしくはない。

ベースとなるスイフトからフェンダーを拡幅し、全幅は3ナンバーサイズとなる1735㎜に。あわせてトレッドも先代から40㎜広がった。タイヤサイズは先代と同じながら、新デザインの17インチアルミホイールが足元を引き締める。バンパーを貫通するリヤの左右2本出しマフラーは先代から受け継ぎ、このクルマがまぎれもなくスイフトスポーツであることを主張する。

 全幅が1735㎜に達し、初の3ナンバーとなったボディは、低全高化も合わせてワイド&ロー感が強調されている。コックピットへ滑り込んでみると、ホットハッチとしてはヒップポイントが低めでスポーティなドライビングポジションがとりやすい。

 このテのモデルでは、バケットタイプのシートを採用したらスタンダードモデルよりもヒップポイントが上がってしまい、なんだかな……と思うこともあるが、スイフトスポーツはそんな愚は犯していない。ヘッドクリアランスにも適度な余裕があるとともに視界も良好で、街でもワインディングロードでも運転しやすそうだと直感する。

NA並みの好レスポンスと湧き上がるトルクに感嘆

 まず注目すべきはエンジン。通常、初試乗の時はゆっくりとしたペースから始め、徐々にアクセルの踏み込みを大きくしていくのが常だが、この日ははやる心を抑えきれなくて、6速MTモデルでいきなり全開加速を試してしまった。

 1速にエンゲージしてエンジン回転を4000rpm程度まで高めてクラッチミートすると、わずかなホイールスピンとともに弾けるように猛然とダッシュ。レブリミットは6300rpm。1速はあっという間に吹けきり2速へシフトアップすると4000rpm弱まで落ち込む。続く3速、4速へのシフトアップ時は4600rpmほどでつながっていく。

 低回転域から大トルクを発揮する1.4ℓ直噴ターボの全開加速は常に全力を出し切っていて文字通りにフラットトルク。それでいて5000rpmを超えても頭打ちになるようなことはなく、レブリミットまでキッチリとパワーがついてくる。NAの、尻上がり的にパワーが盛り上がっていく感覚も楽しいが、シフトアップで回転が落ち込んでもモリモリとしたトルクでボディを押し出していく直噴ターボには、圧倒的なパフォーマンスと頼もしさがある。NAと直噴ターボでは楽しさの種類が少し違うようだ。

 街中や郊外路、高速道路などを想定した走りも試したが、エンジンは1000rpm台でもトルクフルで走りやすい。シフトダウンの必要性に迫られることが少なく、高いギヤのままでもスイスイと走れてしまう。またターボラグの少なさも特筆モノ。

 レスポンスがNAエンジンと変わらぬぐらいにいいのだ。低回転、低負荷時など通常時はウェイストゲートバルブを閉じてタービンの回転数を維持してレスポンスを向上させ、高負荷時にウェイストゲートバルブを開いて過給圧をコントロールする制御が功を奏しているようだ。

エスクードに先行搭載されたK14C1.4ℓターボエンジンは、スイフトスポーツ向けに専用チューニングが加えられた。パワーは先代の1.6ℓNAから4㎰の上乗せだが、トルクは一挙に7.1㎏mもアップ。しかもそれを2500-3500rpmと低い領域で発生する。それでいてJC08モード燃費も先代より向上しているのだ。

 ギヤはクロスレシオとされているが、実は従来モデルと同様だという。クラッチはトルクフルなエンジン特性に合わせて少し重めになっているが、左足にズッシリときて疲れるほどではなく、適度な操作力。

 シフト操作も、ストロークが適度に短めでエンゲージは確実でスムーズだった。従来モデルのシフトフィールは、キチンと入ればそれでいいといったような面も見受けられたが、新型はシフト操作そのものに歓びがある。

 エンジンのトルクが絶大ではあるが、ゼロ発進で全力ダッシュを試みてもクラッチは扱いやすく、過大なホイールスピンを誘発しないのも見どころだろう。

 さらに、ハイパワーFF車にありがちなトルクステアはほとんど見受けられなかった。これだけ動力性能が向上すると暴れ馬のようになっても不思議はないが、まったくもって余裕で受け止めてしまうほどにシャシーにもポテンシャルがあるということだろう。

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