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  • 2018/04/13
  • AnimeandManga編集部

F1を超えた! ポルシェの最速ハイブリッドレーシングカーが誕生

ポルシェ919ハイブリッドEvoがスパ・フランコルシャンでコースレコードを樹立

ポルシェ919ハイブリッドEvoとドライバーのニール・ジャニ
ポルシェは2017年でWEC(世界耐久選手権)から撤退し、フォーミュラEへの参戦を表明した。だがル・マン24時間レースにおいて3連覇を果たした919ハイブリッドの真の実力を証明するべく、耐久レース用装備を取り除き軽量化し、2018年に投入予定だった最新技術を盛り込んだ919 Evoを開発。スパ・フランコルシャンでタイムアタックし、昨年のF1の予選タイムを上回って見せた。今後919トリビュートツアーと名付けられたイベントで欧米を巡り、各サーキットで好タイムを刻むことが期待される。(以下、プレスリリース)
ポルシェ919ハイブリッドEvo

F1の記録を0.783秒短縮

 ポルシェAGのル・マン・ウィナーマシン、919ハイブリッドのEvoバージョンがスパ・フランコルシャンでトラックレコードを樹立しました。4月9日、このアルデンヌの森にある全長7.004kmのベルギーグランプリサーキットを、ポルシェのワークスドライバー、ニール・ジャニが1分41秒770で周回しました。34歳のスイス人、ニール・ジャニは、ルイス・ハミルトン(英国)がメルセデスF1 W07ハイブリッドによって叩き出した従来の記録を0.783秒短縮しました。ハミルトンは2017年8月26日に1分42秒553というラップタイムを樹立し、昨年のF1ベルギーGPの予選でポールポジションを獲得しています。ジャニがトラックレコードを記録したラップをスタートしたのは10時23分で、最高速度359 km/h、平均速度245.61 km/hをマークしました。気温は11°C、トラック温度は13°Cでした。

コースレコードを記録したニール・ジャニ
チーム監督アンドレアス・ザイドル

「本当に素晴らしいラップでした。ニールのドライバーとしての実に優れた才能と、偉大なエンジニアリングの技術が合わさった結果です。私たちの目標は、レギュレーションによって課せられている制限がなくなったとき、ポルシェ919ハイブリッドはどれほどのことが可能なのかを示すことでした。今回のトラックレコードは、現代で最も革新的なレーシングカーの究極のパフォーマンスを圧倒的な形で証明しました。」と、LMP1担当副社長フリッツ・エンツィンガーは述べました。
「世界耐久選手権のレギュレーションによる制限を緩和したときのポルシェ919ハイブリッドの能力を示すことは、私たちの目標でした。このさらなる成功は、LMPチームのたゆまぬ努力の結果であり、エンジニアたちにとっては誇らしい日となりました。これを達成したニールとクルー全員には、お祝いの言葉を述べることしかできません。このプロジェクトには、2017年のLMP1の6人のドライバー全員が貢献しました。」と、チーム監督アンドレアス・ザイドルは述べました。
 ポルシェ919ハイブリッドにより、ポルシェは2015年〜2017年に3年連続でル・マン24時間レースに優勝し、FIA世界耐久選手権(WEC)のマニュファクチュアラーズタイトルとドライバーズタイトルの両方を獲得しました。
「919 Evoは、とてつもなく圧倒的です。私がこれまで運転した中で、間違いなく最速の車です。グリップは私にとってまったく新しい次元というべきレベルで、これほどのものだとは、実際に運転するまで想像もつきませんでした。919 Evoで1周しただけで体感できるスピードは非常に速く、求められる反応速度は私がWECで慣れていたものとは大きく異なりました。2017年のベルギーGPにおけるポールポジションよりも速かっただけではありません。今日のラップは、昨年の私たちのWECでのポールポジションと比較して12秒も速いものでした。私たちはスパで非常に密度の濃い3日間をすごしました。今日の午前中、私は1周目から車のパフォーマンスがすばらしいことを知りました。レースエンジニアは車のセットアップで優れた仕事をしてくれ、ミシュランのタイヤも抜群でした。こうした体験を可能にしてくれたポルシェには、心からお礼を言いたいと思います。」と、ニール・ジャニはコメントしました。

束縛を解かれてレコードへ

LMP1チーフレースエンジニアのスティーブン・マイタス

 FIAは、WECとル・マン向けの技術レギュレーションを定めることで、アウディ、ポルシェ、トヨタからエントリーした、コンセプトが非常に異なるクラス1のル・マン・ハイブリッド・プロトタイプの間で、熾烈な競争をもたらすことに成功しました。このレギュレーションにより、「もし制限に縛られなかったとしたら、ポルシェ919ハイブリッドのポテンシャルはどれくらいなのか」という疑問に、今まで答えることができませんでした。
「私たちにとって、いわばエンジニアの夢が叶ったようなものです。4年間、ポルシェ919ハイブリットを開発、改良してレースで戦わせた私たちは、この車に非常に思い入れがあります。私たちは全員、ポルシェ919ハイブリッドがどれほど成功を収めようとも、その能力が完全には発揮されてこなかったことを知っていました。実際、Evoバージョンも、十分には技術的ポテンシャルを発揮していません。今回は、リソースの制約はありましたが、レギュレーションの制限は受けませんでした。私たちがこの車につぎ込んだものによってF1の記録を破ることができ、非常に満足しています。」と、このプロジェクトを率いた、LMP1チーフレースエンジニアのスティーブン・マイタスは述べました。

 このレコードカーを準備するにあたって、ベースとなったのは2017年ワールドチャンピオンシップカーでした。まず、2018年のWECに向けて準備されながら、2017年末に撤退が決まったため、レースでは試されなかった開発事項が盛り込まれました。さらに、エアロダイナミクスに関して複数の変更点が加えられました。
「ポルシェ919ハイブリッドEvo」では、パワートレインのハードウェアには手を加えていません。ポルシェ919を駆動するのは、コンパクトなターボチャージャー付2リッターV型4気筒エンジンで、2種類のエネルギー回生システム(フロントホイールのブレーキエネルギーと排気エネルギー)が採用されています。内燃エンジンはリアホイールを駆動し、電気モーターはフロントホイールをブーストして4輪駆動の車を加速させます。同時に、大気中に捨てられてしまうはずのエグゾーストシステムからのエネルギーを回収します。フロントブレーキと排気システムから回生される電気エネルギーは、一時的に水冷式リチウムイオンバッテリーに蓄えられます。
 WEC効率レギュレーションでは、フューエルフローメーターを使用することで、1ラップあたりの燃料によるエネルギーが制限されていました。2017年のスパでの選手権ラウンドでは、ポルシェ919ハイブリッドの最終セッションは1ラップあたりのガソリン使用量の制限は1.784km/2.464リッターでした。このときにV4内燃エンジンによって得られた出力は約500PSでした。この制限を取り払い、最新のソフトウェアを装備した結果、通常のレース用の燃料(20%のバイオエタノールを含むE20)を使用した状態で、919ハイブリッドEvoのV4エンジンは720PSを発生しました。

 2017年のWECスパ戦で使用することができた2つの回生システムによるエネルギー量は6.37メガジュールでした。これは、システムのポテンシャルをはるかに下回るものでした。レコードラップでは、ニール・ジャニは8.49メガジュールのフルブーストを利用することができました。これにより、回生エネルギーの出力は400PSから440PSへと10%増大しました。
 エンジニアたちによって、919 Evoのエアロダイナミクスもレギュレーションの制限から解放されました。新たに大型化されたフロントディフューザーと、それに見合った新しい超大型リアスポイラーの両方が、空気抵抗低減システムをアクティブ制御しました。油圧作動式のシステムがフロントディフューザーの後端を調整し、リアスポイラーメインプレーンとフラップ間のスロットを開き、Evoのエアロダイナミクス効率を改善します。Evoのアンダーフロアでは、固定式のサイドスカートと回転式ベーンとフロアが最適化され、できるだけ効率的になるようにエアロダイナミクス性能がいっそう向上しています。これらの変更により、全体でダウンフォースが53%増大し、効率が66%向上しました(2017年WECスパ戦の予選と比較した場合)。

 パフォーマンスの限界をさらに押し広げられるよう、919 ハイブリッドEvoは4輪にブレーキバイワイヤーシステムを装備し、さらなるヨーコントロールを可能にしました。また、負荷の増大に対応できるようにパワーステアリングに変更を加え、より強力なサスペンションウィッシュボーンを前後に組み込みました。
 実際にレースで走っていた仕様の919ハイブリッドとの比較で、乾燥重量は39kg減の849kgとなりました。これを達成するために、高速で1周を走るのに必要ないものは全て取り除かれました。エアコンディショナー、フロントウインドウワイパー、複数のセンサー、レースコントロール用の電子機器、ライトシステム、空気圧ジャッキシステムなどです。
 長年にわたりポルシェのタイヤパートナーを務めてきたミシュランは、F1マシンよりも大きなダウンフォースを発生する車に向けたタイヤ開発の取り組みにすぐに関心を寄せました。目標となったのは、タイヤの寸法(31/71-18)を維持しながら、グリップを大幅に増大させることでした。安全性を損なわずに、必要なグリップが得られるよう、ミシュランは新しいコンパウンドを開発しました。

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