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  • 2017/12/31
  • GENROQ編集部

【年末特別企画】ポルシェ クラシックの世界④ポルシェ・ミュージアム ”バックヤード編”《最終回》

名マシンから貴重な試作車など、ポルシェファンならずとも必見!

保安上の理由もあり、関係者以外には一切立ち入りが許されていないミュージアムのバックヤードと呼ばれる所蔵庫。9905㎡という広大なスペースには、試作車からレーシングカーまで様々なモデルが詰め込まれている。
ポルシェ・ミュージアムを見れば明らかなように、ポルシェクラシックが管理している車両は年々その数を増やしている。その拠点となっているのが、“バックヤード”。その一部をご紹介しよう。

PHOTO&REPORT◎藤原よしお(Yoshio Fujiwara)

ポルシェクラシックの活動は実に多岐にわたる。一般カスタマーの車両のレストアや、パーツの製作、供給はもちろん、ツッフェンハウゼンのポルシェ・ミュージアムの所蔵車の管理、メディアなどPRを目的とした車両の貸し出し、各種イベントへの参加など、クラシックに関する物事はすべて彼らの仕事だ。

ちなみに現在ポルシェクラシックが所蔵管理している車両は約600台。ほんの5年ほど前に聞いたときは500台だったので、毎年数十台のペースで増え続けている計算になる!

では、それらの車両はどこにどうやって管理されているのか? その拠点のひとつとなっているのが“バックヤード”と呼ばれるポルシェクラシック専用の保管庫だ。

もともと1960年代に建てられた倉庫を改装したという、この施設がオープンしたのは2012年のこと。残念ながら保安上の問題もあり、施設の場所は非公表で一般に公開されることもないが、9905㎡の広さをもつ建物内には300台以上のクルマたちが保管されている。

911GT198とともに何気なく置かれている962Cは、1987年のル・マンでハンス-ヨアイム・シュトゥック、デレック・ベル、アル・ホルバートが総合優勝を飾ったシャシーナンバー006だったりする。

その光景はまさに圧巻だ。重い鉄の扉を開けてまず目に入ってくる956、962C、911GT1、RSスパイダーといったレーシングモデルの大群だけでも言葉を失ってしまうほどだが、しばらくして目が慣れていると、白い布製のカバーに覆われた無数のクルマたちのシルエットが、どれも“ただもの”ではないことに気づく。

「そう、これは1960年代に作られた4シーター911のモックアップですよ」

と、コレクション担当のベンジャミン・マージャナックがカバーを剥いで見せてくれたのは、1969年に911(Bシリーズ)をベースにあのピニンファリーナが試作した4シーター911のうちの1台。しかも公にはほとんど露出していないノッチバック・スタイルの方だ!

それだけで驚くのはまだ早い。その傍には、1970年に試作され実際にテストされたTyp915と呼ばれる4シーター911の実車や、1989年に試作された989、1991年に試作された932など、現在のパナメーラに繋がる4シーター911のプロトタイプ(どれも当時は非公表だった!)が全て揃っているのだ。

1969年にピニンファリーナによって2台試作された4シーター911のうちの1台。一般には公開されたことのない超レア物だ。もう1台の姿はポール・フレール著『Porsche 911 Story(二玄社刊)』に収録されている。

これらの貴重なプロトタイプは、ミュージアムのほか各地の工場や、倉庫に分散して保存されていたものだというが、このほかにもシャシー単体や、エンジン単体、さらにポルシェ本社で使用されていたVWタイプ2の消防車に至るまで、あらゆる物がコレクションされている。

おそらく試作車やモックアップに至るまで、これほど多くの台数をコレクションしているメーカーは他にないかもしれない。それだけでも十分に彼らの見識の高さが伺えるのだが、個人的に感銘を受けたのは、なんでも動態保存したりレストアするのではなく、それぞれの保存状態を見極めて可能な限りオリジナルの状態で後世に残していこうという姿勢だ。その証拠に、最近になってバックヤード入りした1966年のル・マンに出場したワークスカーである906“ラングヘック”は、波打ったFRPパネルや、チリのあっていないカウルなど、敢えて当時の姿のままで残されている。

こうして書き連ねてきたものの、このバックヤードの凄さを文字で表現することは到底不可能だ。ということで、ここに収められている貴重なモデルの写真(ほんの氷山の一角)から、その凄さの一端を感じていただければ幸いである。

珍しいプロトタイプや、レーシングマシンに目を奪われてしまうが、ポルシェのルーツである356一族も素晴らしいコンディションの個体が一同に揃う。各地のラリーなどにも積極的に参加しているそうだ。
1973年のタルガ・フローリオで、レオ・キニューネン/クロード・ハルディ組がドライブし、総合3位に入った911RSR2.8。長い時間をかけ、ミュージアム1階の工場でレストアされていた個体だ。
派手なオーバーフェンダーのついたメルセデスC124。そのボンネットを開けると、中から出てきたのはインディカー用V8エンジン。市販車に転用するためのテストベッドとして使われていたクルマなのだそうだ。

少し前までミュージアムに常設展示されていた718F2も、バックヤードで羽を休めていた。1960年のニュルブルクリンクでジョー・ボニエがドライブし、優勝した個体でもある。
1966年のル・マン24時間に出場したワークス906。“ラングヘック”と呼ばれたロングテール・ボディで現存(しかも当時の姿のまま)するのは、世界中でおそらくこれ1台だけかも。

1997年の北米Can-Amシリーズに向け917PAをベースに開発された917/16スパイダー。ミッドにはなんと6.6リッターのフラット16気筒エンジンを搭載。しかし一度もレースに出ることなくお蔵入りに。
こちらも長年ミュージアムに常設されていたポルシェ908/3 1970年タルガ・フローリオ出場車。ペドロ・ロドリゲス、レオ・キニューネンのドライブで総合2位となった40号車だ。

グループC以前のル・マン24時間を席巻したワークス・ポルシェ936。JulesカラーのNo.11は、1981年にジャッキー・イクス/デレック・ベル組が総合優勝を飾った936/81、シャシーナンバー003。
2005年から09年にかけて、プライベーターにも市販されたLMP2マシン、RSスパイダーは各年式の各モデルがずらりと揃う。1台ずつ仔細ディテールを見比べられるのは、この場所ならでは。

1996年に当時のGT1規定に合わせた純レーシングモデルとして登場した911GT1。これは97年に市販されたロードバージョンの1号車。ヘッドライトがこの年から996用に変わったのが特徴。
次世代のフラッグシップとして1984年からテストが重ねられていた965。インディカー由来の3.4リッターV8水冷ツインターボ・エンジンと4WDシステムを組み合わせた意欲作だったが、計画は中止された。
1987年に発表された928 H50コンセプト。観音開きのドアをもつ変則4ドア・シューティングブレークで、フェリー・ポルシェ博士のプライベートカーとして愛用されたというヒストリーももつ。

1991年に秘密裏に試作された4ドア・サルーン“989”のモックアップ。これは社内コード932と呼ばれたモデルで、デザインを手がけたのは、あのジョルジェット・ジウジアーロだそうだ。

パレットの最上段に何台分か置かれていた謎のシャシー。聞けば1996年型911(933)GT1の未使用新品シャシーなのだそうだ。こんなものまで大事に取ってあるなんて……。
妙にホイールベースの長いアンバランスな993ターボ……と思ったら、993風のボディを載せて偽装した996ターボのプロトタイプだった。この手の偽装はポルシェでよく使われる常套手段だそうだ。

991ターボ? と思いきや「これも試作車のうちの1台。下から見るとターボチャージャーが4基付いているのが見えるよ」とはマージャナック。「でもそれ以上は言えない。聞かないでくれ(笑)」
上段にある妙にバランスの悪い赤い964は、なんと986ボクスターのテストベッド。もちろんミッドシップで、よく見るとリヤフェンダーの前にエンジン用のエアインテークが付いている。

パールホワイトの959……ではなく、1983年のフランクフルト・ショーに出品された959のプロトタイプ、グルッペB。エンジンは956譲りの2.85リッター空水冷フラット6ツインターボ。
新車時に特別オーダーで室内のカーペットもグリーンとされた911タルガといった珍しい1台から新しい991、パナメーラまでを保管。基本的にどれも実働状態に保たれているというから驚く。
揃ってバッテリーをチャージされているのは、944、968といったトランスアクスル・モデルたち。昨年開催されたトランスアクスル展では、世界各国のジャーナリストに試乗用に貸し出された。

1979年にウェルナー・ヘスという愛好家が作ったBMWのフレームに356スーパー90用フラット4を搭載したバイクまで収蔵されている。本気で市販を検討したらしいが、これ1台のみで終わった。
「これも珍しいでしょう」とマージャナックがシートをめくると、カイエン・ターボ(タイプ955)ベースの2ドア・カブリオレが姿を現した。イヴォーク・コンバーチブルが登場する遥か以前の試作車である。

オープン当初は広々としていたバックヤードも、今や手狭な印象。よって不動のモックアップやカットモデル、使用頻度の低いクルマは3段式のパレットに重ねて収納されている。
レストアしたばかりの完成車などが仕舞われたボックス。これを見てメルセデスのオールドタイマーセンターに似てる! と思った貴方は鋭い。なんとポルシェ・ミュージアムのアヒム・ステテスカル館長は、元メルセデス博物館の副館長なのだ。

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