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  • 2017/07/11
  • 遠藤正賢

ロードゴーイングレーサー「メルセデスAMG GT R」日本上陸!

専用チューンのエンジン・ボディ・シャシーに加えメルセデスAMG初の四輪操舵システムを搭載

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メルセデスAMG GT R。ボディカラーは専用色のAMGグリーンヘルマグノ(マット)
メルセデス・ベンツ日本は6月27日、メルセデスAMG社による完全自社開発のFRスーパースポーツ「メルセデスAMG GT」に、ニュルブルクリンク24時間耐久レースやスーパーGTなどに参戦するカスタマースポーツレーシングカー「メルセデスAMG GT3」で培った技術を投入したロードゴーイングレーサー「メルセデスAMG GT R」を追加。同日より販売を開始した。

75ps・50Nm高められたM178型エンジン

M178型4L V8直噴ツインターボエンジンは、過給圧を標準仕様「AMG GT」の1.2barから1.35barに高めつつエグゾーストポートの形状を変更。圧縮比を10.5:1から9.5:1に下げ、燃焼プロセス全体を再チューニングした。

これに合わせ、アクセル特性曲線と過給圧発生、トランスミッションパラメーターの調整を変更。さらに、2つのマスフライホイールを高性能グレード「AMG GT S」に比べ0.7kg軽量化して、エンジンの負荷変化に対する反応をよりリニアにしながら、7速「AMGスピードシフトDCT」のギアシフト動作速度をさらに高めている。

その結果、「AMG GT R」は「AMG GT S」に対し75ps・50Nmアップの585ps・700Nmを発揮。パワーウエイトレシオ2.80kg/ps、0-100km/h加速3.6秒を実現した。

「AMGパナメリカーナグリル」のルーツとなった「メルセデス・ベンツ300 SL」
メルセデスAMG GT Rに採用された「AMGパナメリカーナグリル」

エクステリアは、ダウンフォースを高めつつ冷却性能を向上させるため、大幅に変更されている。

フロントグリルには、1952年メキシコで開催された伝説の公道レース、カレラ・パナメリカーナ・メヒコで優勝したレーシングカー「メルセデス・ベンツ300 SL」で初めて採用され、「メルセデスAMG GT3」レーシングカーの外観を想起させる、クロームメッキを施した15本の垂直フィンからなる「AMGパナメリカーナグリル」を採用。低く構えたフロントセクションと前傾したフロントグリルによって、クルマの背圧ポイントを下げ、冷却気流と空力性能を強化した。

水平フィン2本が装着されたフロントバンパー左右の大型エアインテーク

フロントバンパー左右の大型エアインテークには、駆動システムに必要な冷却気量の増加に対応するため、空気の流れを損失なくラジエターへと向かわせるよう、メッシュに代えてエアロフォルムの水平フィン2本を装着。また、狭い縦向きの開口部から空気をホイールアーチへ導くエアカーテンを、エアインテーク外側に追加することでCd値を改善した。

「アクティブ・エアロダイナミクス・システム」作動イメージ

さらに、新開発の「アクティブ・エアロダイナミクス・システム」を採用。エンジン前方のアンダーボディにほとんど見えない形で隠れている重量2kgのCFRP製ウィングが、「RACEモード」で80km/hに達すると約40mm自動で下降し、ベンチュリ効果を生み出すことで、フロントアクスル揚力を250km/h時で約40kg低減する。

同時にフロントエンドのラジエターエアアウトレットが開き、気流をダブルリアディフューザーへ向けて正確に導くことで、リアアクスルの操縦安定性を高めるとともに、リアのホットスポットの温度上昇を抑制。ブレーキディスクに流れる冷却気の量を増大させることで、制動力を向上させる。なお、損傷を防ぐため、容易に上方へたわむスプリングマウントを採用している。

そのほか、フロントバンパー後端下部に電子制御式垂直ルーバー「エアパネル」を装着。トップスピードでの走行中や制動時、高速コーナリング時など通常は閉じ、空気抵抗を少なくするとともに気流をアンダーボディへ導き、フロントに働く揚力を低減。コンポーネントが一定の温度に達し、冷却が必要になった時だけルーバーを開き、各種ラジエターへ流れる空気の量を向上させる。

CFRP製フロントフェンダーの大型エアアウトレット

CFRP製のフロントフェンダーは「AMG GT」に対し46mm拡大され、トレッドの拡大とタイヤ・ホイールの大型化に対応。フィンを備えた専用のシグネットリング状インサートと、エンジンルームからの熱を逃す大型エアアウトレットが設けられた。アルミ製のリヤフェンダーも57mm拡大され、ホイールの20インチへの大型化とトレッド拡大に対応している。

手動調整式の大型リアウィングを装着したメルセデスAMG GT Rのリアまわり

リアバンパーは左右に大型エアアウトレットとスリット、ダブルディフューザーを備えることで気流を改善するとともに、サイレンサーからの熱を走行中にダブルディフューザーから排出。さらに、リアコンビネーションランプの間に小さなエアアウトレットを設けることで、サイレンサーからの熱をさらに放散しやすくした。

また、中央に仕切りを備える大型エグゾーストエンドをリアの中央に配置し、その左右にも黒のエグゾーストエンドを2本、ディフューザー内に追加。テールゲートにはサーキット走行に対応できるよう、手動調整式の大型リアウィングを装着した。その結果、最高速時の面接触力が「AMG GT」に対し155kg増加している。

「AMGリア・アクスルステアリング」を備えたリアサスペンション

シャシーも大幅に強化されており、メルセデスAMGモデルとして初めて「AMGリア・アクスルステアリング」を標準装備。通常のコントロールアームに代えてステアリングアクチュエーター2個を備え、後輪のトー角をバイワイヤで最大1.5度変化させることができるこのシステムは、100km/h以下では逆位相、100km/h超では同位相に後輪を操舵させ、低速時の回頭性と小回り性能、高速時の操縦安定性を向上させる。

リアサスペンションはこのほか、ロアウィッシュボーンにピローボールが用いられ、スタビライザーも中空化とともに径がアップされ、大荷重時の安定性が高められた。

「ミシュラン・パイロットスポーツカップ2」を装着したフロントタイヤ

タイヤはフロント275/35ZR19、リア325/30ZR20の「ミシュラン・パイロットスポーツカップ2」を標準装備。サーキット走行時のラップタイムを短縮しながら寿命を最大1.5倍延長した。

センターコンソールに装着される「AMGトラクションコントロール」調整ダイヤル
センターディスプレイに「AMGトラクションコントロール」の設定を表示したメーターパネル

電子制御LSDと連携して制御される3ステージESPは、「ESP ON」、「ESP SPORT Handling」、「ESP OFF」の3モードを備えるとともに、「ESP OFF」には後輪のスリップ量を9段階からセンターコンソールのダイヤルで調整できる「AMGトラクションコントロール」を搭載。選択された設定は、ロータリースイッチを囲むLEDゲージと、メーターパネルのセンターディスプレイに表示される。

軽量化とボディ剛性向上も徹底しており、CFRPをフロントフェンダーとルーフ、フロントのエンジンとリアのトランスミッションをつなぐトルクチューブ、フロントに2本装着されるエンジンルームクロスメンバー、リヤのトンネルクロスメンバーに使用。さらに鍛造アルミホイールや、遮音材も減量されたチタン製リアサイレンサーを採用することで、ねじり剛性を「AMG GT」に対し約7.5%高めつつ、「AMG GT S」に対し約15kg軽量化した。

「AMGスポーツバケットシート」を装着した「AMG GT R」のインテリア

インテリアには、表皮にナッパレザーとDINAMICAマイクロファイバーを使用した軽量なマニュアル調整式「AMGスポーツバケットシート」と、シフトパドルやステアリングホイール、ステップカバー、ラゲッジルームバーをハイグロスブラック仕上げとした「AMGインテリアナイトパッケージ」を標準装備。「AMGパフォーマンスシート」とイエローシートベルト、「AMGマットカーボンインテリアトリム」をオプション設定し、モータースポーツ直系マシンならではのスパルタンなテイストを醸し出している。

一方、カメラとミリ波レーダーで前走車を認識し、設定した速度に合わせて車間距離を制御する「ディスタンスパイロット・ディストロニック」を標準装備。ロードゴーイングレーサーながら、高い予防安全性能を確保している。

ボディカラーは「AMG GT R」専用色の「AMGグリーンヘルマグノ(マット)」を含む計10色。ハンドル位置は左のみ、完全受注生産で、価格は23,000,000円。

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